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【歯科技工士問題とデジタル歯科】
第1回:歯科技工士問題とは?
〜知られざる歯科医療の縁の下の力持ち〜
みなさんは「歯科技工士」という職業をご存じでしょうか?
歯科技工士とは、歯科医師の指示をもとに 被せ物・詰め物・入れ歯・矯正装置などを製作する専門家 のことです。患者さんが治療を受けて装着する補綴物(ほてつぶつ)は、ほぼすべて歯科技工士の手によって作られています。つまり、歯科医療は歯科医師と歯科衛生士だけで成り立つものではなく、歯科技工士の存在が不可欠なのです。
■ なぜ歯科技工士が減っているのか?
いま、この歯科技工士が 急速に減少し、社会問題 となっています。その背景には、いくつかの大きな要因があります。
過酷な労働環境
- 長時間労働になりやすい
- 細かい作業の連続で心身の負担が大きい
- 利益率が低く、収入が安定しにくい
下請け構造による低い収益性
- 多くの技工所は歯科医院からの依頼を受ける立場
- 歯科医師の報酬自体が医科に比べて低く、そのしわ寄せが技工士に及ぶ
グローバル化による価格競争
- 海外の安価な労働力との競争が激化
- 採算が合わず廃業する技工所が増加
- 離職や新規参入の減少
この結果、日本全国で歯科技工士の数は減り続け、平均年齢も上昇。将来的には、患者さんに提供できる補綴物の 質や供給量に影響が出かねない 状況にあります。
■ 患者さんへの影響は?
「技工士が減っている」と聞くと、自分には関係ないと思われるかもしれません。
しかし実際には、以下のような形で患者さんに直結します。
- 被せ物や入れ歯の 納期が長引く
- 技工士の数が減ることで 精度やクオリティの差が広がる
- 保険診療だけでは対応しきれず、高額な治療を選ばざるを得ないケース が増える
つまり、歯科技工士問題は「歯科医療の未来」を左右する大きなテーマなのです。
■ まとめ
歯科技工士は、普段はあまり表に出ない職種ですが、 歯科医療の質を根底で支える存在 です。
しかし、過酷な労働環境・低い収益性・グローバル化の影響により、今後ますます減少していくことが予想されます。
次回の 第2回 では、私自身が歯科医師として直面したこの問題と、そこから デジタル化に踏み切った背景 をお話ししていきます。