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歯科物語シリーズ⑨ 審美歯科編
〜後悔しないために知ってほしいこと〜
「前歯をきれいにしたい」「笑顔に自信を持ちたい」
こうした願いから、審美治療を検討される方は少なくありません。ところが、安易に治療を選んでしまい、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔されるケースも実際にあります。今日は、そのような後悔の例を交えながら、審美歯科と美容歯科の違いをお話しします。
よくある後悔のパターン
- 歯を大きく削られてしまった
「すぐにきれいになりますよ」と説明を受け、健康な歯を大きく削って分厚いセラミックをかぶせたケース。短期間で見た目は整いましたが、数年後に歯がもろくなり、割れて抜歯に至ってしまうこともあります。 - 神経を取られてしまった
「神経を取った方が早いし見た目もきれいになります」と言われ、神経を取ってしまったケース。確かにその場では問題なくとも、神経のない歯は水分が失われて脆くなり、将来的に歯根破折(歯が根元から割れる)につながります。割れてしまえばもう保存はできず、抜歯しか選択肢がなくなります。 - 短期間の改善だけを優先した
芸能人のように「すぐに白くて真っ直ぐな歯並びになれる」と考えて、強引に歯を抜いたり、無理な被せ物をしたりするケース。確かに写真映えはしますが、噛み合わせや歯茎の健康を犠牲にすることになり、長持ちしない結果になりがちです。
なぜこうした後悔が起きるのか?
大きな理由は「美容歯科」と「審美歯科」の考え方の違いにあります。
- 美容歯科:見た目の劇的な変化を優先 → 歯や神経を犠牲にすることもある
- 審美歯科:健康を土台に自然な美しさを追求 → 時間と手間はかかるが長持ちする
つまり、治療方針の違いがそのまま将来の結果に結びつくのです。
後悔しないためのポイント
私が患者さんに必ずお伝えしているのは次の3つです。
- 歯はできるだけ削らない
削る量が少ないほど歯は強く残り、長期的な安定につながります。 - エナメル質を守る
接着のカギは「エナメル質」にあります。ここを残してセラミックと一体化させることで、外れにくく割れにくい補綴物になります。 - 時間と手間を惜しまない
短期集中で無理に仕上げるのではなく、診断・設計・シミュレーションを経て段階的に進めることが、最終的に「健康で美しい」ゴールにつながります。
私の臨床で大切にしていること
私は審美治療の際には必ずマイクロスコープを使用しています。
0.5〜0.7mmのごく薄い層を正確に削り、エナメル質を守りながら形を整えるためです。肉眼では難しい作業ですが、拡大視野で確認しながら進めることで、最小限の犠牲で最大の効果を引き出せます。
確かに治療時間は通常の2〜3倍かかります。しかしその分、歯を守りながら美しさを作れることに価値があると考えています。
まとめ
「前歯をきれいにしたい」と思ったとき、すぐに削ってかぶせるのは簡単です。しかし、その選択が数年後に大きな後悔につながることもあります。
審美歯科は「健康を犠牲にしない美しさ」を目指す治療です。
- 歯をできるだけ削らない
- 神経を守る
- 時間をかけて丁寧に進める
この3つを意識すれば、後悔しない美しい笑顔を長く保つことができます。
あなたがこれから審美治療を検討する際に、この違いをぜひ知っておいてください。