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ラバーダム防湿とは何か? ― 見えない配慮が治療の質を変える
最初に驚かれる処置、それが「ラバーダム防湿」
私の治療を受けられた患者さんが最初に驚かれるのが、この 「ラバーダム防湿」 です。
簡単に言うと、治療中に歯の周囲をゴムのシート(マスク)で覆い、治療する歯だけを露出させる方法です。
かつては保険算定ができた処置ですが、現在は算定できないため、当院では 無料で標準的に実施 しています。
実は100年以上の歴史がある方法
ラバーダム防湿は決して新しい技術ではなく、100年以上前から使われてきた方法 とも言われています。
しかし近年、改めて注目を集めています。
患者さんの中でも「良い治療を受けたいならラバーダム防湿がされているかどうかが基準になる」と考える方が増えてきました。
では、なぜ普及していないのか?
実際には 9割近い歯科医院では行われていない のが現状です。
理由は以下の通りです:
- 保険算定ができない(自費または無料対応になる)
- 器具の準備やトレーニングが必要
- スタッフも慣れていないと煩雑になりやすい
- 診療時間が短い医院(15分枠など)では物理的に難しい
- 患者さんから「痛い・苦しい・時間がかかる」といったクレームにつながるリスク
つまり「やらない理由」は山ほどあるのです。
それでも私が必ず行う理由
しかし、ラバーダム防湿をルーティンにしてしまえば、治療の安全性・確実性は格段に向上 します。
具体的には、
- 治療器具や薬液の 誤嚥・誤飲の防止
- 口腔内の唾液や湿気を遮断し、確実な防湿環境の確保
- 治療部位の視野が明瞭になり、精度の高い処置が可能
特に効果を発揮するのは以下の治療です:
- 根管治療(歯の神経の治療)
- 虫歯治療(特に深い虫歯)
- セラミックの接着治療
トラブル症例の裏側にあるもの
「根の治療をしたのにまた痛くなった」
「セラミックを入れたのにすぐ割れてしまった」
このようなトラブル症例の ほぼ100%はラバーダム防湿をしていない ことがわかっています。
お口の中の細菌や湿気は目には見えません。
しかし、その「見えない要因」を遮断するかどうかで、治療の予後は大きく変わります。
見えないからこそ大切にしたい配慮
ラバーダム防湿は、患者さんにとっては「少し不思議な見た目」に見えるかもしれません。
しかし、このひと手間によって 治療の成功率は飛躍的に上がる のです。
私は「患者さんの目に見えない部分こそ大切にするべき」という哲学のもと、
10年間、すべての保険診療でもラバーダム防湿を行ってきました。
まとめ
- ラバーダム防湿 とは、歯をゴムのシートで隔離して治療を行う方法
- 100年以上の歴史があるが、日本では普及率が低い
- 導入コスト・時間・煩雑さから9割の医院では行われていない
- しかし、根管治療・虫歯治療・セラミック接着の成功率を大きく高める
- トラブル症例の多くは「ラバーダム防湿なし」で行われている
「見えない部分にこそ、本当に質の高い治療がある」
その象徴がラバーダム防湿だと考えています。