初診で「お口全体のスクリーニング」を行う理由― 保険診療でもここまでわかる【桜新町の歯科医師が解説】
こもり歯科クリニック 院長 小森 真樹(日本顎咬合学会 指導医・桜新町)
「初診なのに、こんなに詳しく診てもらえるとは思っていませんでした」――そんな感想をいただくことがあります。当院では初診時に、保険診療の範囲内で口腔内写真・パノラマX線・必要に応じた個別のデンタルX線・CTなどを組み合わせた全体スクリーニングを行います。
「痛い歯だけ診てすぐ治療」ではなく、「まずお口全体の現状を把握する」ことから始める理由をお伝えします。
初診スクリーニング:保険診療の範囲でできること
当院の初診では、以下の検査を保険診療の範囲内で標準的に行います。
①口腔内写真
全顎を標準化された角度で撮影します。歯・歯肉・補綴物(被せ物・詰め物)の状態を客観的に記録し、現時点の全体像を「見える化」します。肉眼だけでは記録できない細部の状態を把握でき、後の経過比較にも使います。初めて来院された方が今どんな状態かを正確に記録する、最も基本的な診査です。
②パノラマX線
上下顎全体を一枚で俯瞰するX線写真です。骨の全体的な状態・歯の本数と位置・根の状態・骨吸収の有無・親知らずの状況などを一目で確認できます。「地図の全体像」を把握するための検査で、これがあるとお口全体のリスクの大枠がわかります。
③個別のデンタルX線(必要に応じて)
パノラマで気になる部位が見つかった場合、その歯を個別に精密撮影します。根の先の病変・隣接面の虫歯・骨吸収の詳細など、パノラマでは見えにくい情報を追加で把握します。
④歯科用CT(必要に応じて)
骨の三次元的な状態の評価が必要な場合――例えばインプラントの適否を判断したい、根管の複雑な形態を確認したい、埋伏歯の位置を把握したいなど――に撮影します。二次元では見えなかった情報が明らかになります。
これらの保険診療の範囲内の検査だけで、お口全体の「現状」と「将来のリスク」の大枠を把握し、今後の見通しをご説明することができます。
スクリーニングで何がわかるか
初診スクリーニングを行うことで、以下のことが把握できます。
- 現在の虫歯・根尖病変(根の先の炎症)の有無と程度
- 歯周病の進行状況・骨吸収の有無
- 過去の治療の状態(被せ物・詰め物・根管治療の適否)
- 欠損部位と周囲の歯への影響
- 全体的な歯並び・噛み合わせの問題の有無
- 将来的にリスクが高い部位の予測
「今すぐ治療が必要なもの」「経過を見るもの」「将来リスクが高いもの」を整理してお伝えすることで、患者様が治療の優先順位を理解した上で判断できるようになります。「何をどの順番でやるべきか」の全体像をお伝えするのが、初診スクリーニングの目的です。
より詳しく知りたい方へ:精密検査(保険外・5万円)
初診スクリーニングで「より詳細な診断が必要」と判断された方や、矯正・インプラント・咬合再構成など複雑な治療を本格的に検討されている方には、精密検査をご案内しています。
精密検査は保険外(税込5万円)で、以下の内容を行います。
①上下スタディモデル
上下顎の歯型を精密に採得し、石膏模型を作製します。実際のお口の中では確認しにくい歯の傾斜・アーチ形態・咬合接触の状態を、模型上で詳細に評価できます。
②フェイスボウトランスファー
フェイスボウという器具を使って、顎関節と上顎の位置関係を記録します。この情報を咬合器に移すことで、実際の顎の動きを再現した状態で咬合の分析が行えます。
③セントリックバイトでの咬合器付着
顎が最も安定した位置(セントリックリレーション)での噛み合わせを記録し、咬合器に付着します。これにより「現在の噛み合わせのズレ」「特定の歯への過剰な力のかかり方」「顎関節への影響」を体外で精密に評価できます。噛み合わせが原因の歯の破折・補綴物の脱離・顎関節症などの問題解決には、この評価が不可欠です。
④セファロ(頭部規格X線)
顔全体の骨格的なバランスを評価する特殊なX線写真です。上顎・下顎・顎骨の位置関係・歯の傾斜角度を数値化することで、矯正治療のゴール設定と治療計画の精度が大幅に上がります。噛み合わせの問題が歯列由来か骨格由来かを判断する上でも重要です。
⑤デジタルデータの採得(口腔内スキャン)
口腔内スキャナーで精密な三次元デジタルデータを採得します。従来の型取りの負担なく高精度なデータが得られ、矯正・補綴・インプラントの治療計画シミュレーションに活用します。「治療後の歯並びや噛み合わせがどうなるか」を視覚的にお見せすることも可能です。
精密検査は「治療を始める前に全体の地図を完成させる」ための投資です。この診査なしに本格的な矯正・インプラント・咬合再構成の治療計画を立てることはできません。
「まず保険で全体を把握→必要なら精密検査」という流れが大切な理由
いきなり精密検査をすることもできますが、当院ではまず保険診療の範囲内でスクリーニングを行い、「精密検査が必要かどうか」を判断した上でご案内しています。
理由はシンプルで、「必要のない検査を患者様に負担させたくない」からです。スクリーニングの結果、シンプルな治療だけで解決できる場合は精密検査は不要です。一方、複数の問題が絡み合っていたり、矯正や咬合再構成が視野に入るような複雑な症例では、精密検査によって得られる情報が治療の質を大きく左右します。
「自分には精密検査が必要か」は初診スクリーニングの後に一緒に判断しますので、まずは気軽に初診にお越しください。
まとめ
当院の初診では、保険診療の範囲内でお口全体のスクリーニングを行い、現状と将来のリスクをお伝えします。「痛いところだけ治す」ではなく、「全体を把握した上で、何から手をつけるべきかを一緒に考える」ことが、長期的なお口の健康管理の出発点です。
「今の口の中の状態を整理したい」「長年の治療の繰り返しをどうにかしたい」「矯正やインプラントを本格的に検討したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
※精密検査(保険外・税込5万円)の内容:上下スタディモデル、フェイスボウトランスファー、セントリックバイトでの咬合器付着、セファロ、口腔内スキャンによるデジタルデータ採得。詳細は初診時にご説明します。
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