片方の顎が痛いときは何科?まず受診すべき科と、考えられる原因を解説
桜新町の歯科医師が解説|こもり歯科クリニック 院長 小森真樹(臨床歴19年・日本顎咬合学会 指導医)
片側の顎だけが痛むとき、内科でも整形外科でもなさそうで、どこにかかればよいか迷う方は多いと思います。先に結論をお伝えすると、顎の痛みの多くは顎の関節や噛み合わせ、歯に関わるため、まずは歯科、とくに歯科口腔外科への相談が選択肢になります。そのうえで、原因によっては他の科が適していることもあります。この記事では、なぜまず歯科なのか、片側の顎が痛むときに何が起きているのか、そして受診を急いだほうがよい目安までを解説します。
なぜ、まず歯科・口腔外科なのか
顎の痛みの背景には、顎の関節やその周囲の筋肉の不調、噛み合わせの偏り、食いしばり、親知らずや歯の炎症といった、口まわりの要因が関わっていることが多くあります。これらはいずれも歯科や歯科口腔外科が専門とする領域です。原因の見当がつかないまま複数の科を回るより、まず口まわりを評価できる歯科で相談したほうが、近道になりやすいのです。
片側の顎が痛むときに考えられる原因
顎関節やその周囲の筋肉の不調
顎の痛みで多いのが、顎の関節や、それを動かす筋肉に負担がかかっている状態です。筋肉のこわばりが主な場合もあれば、関節そのものの動きに問題がある場合もあり、痛み方や口の開けにくさのあらわれ方が変わります。どちらが主体かによって対応も異なるため、見極めが大切になります。
食いしばりや歯ぎしりによる負担
無意識の食いしばりや歯ぎしりは、顎の筋肉や関節に強い負担を繰り返しかけます。とくに片側で噛む癖がある場合、負担が一方に偏り、片側だけの痛みとして出ることがあります。
親知らずや歯の炎症
奥歯や親知らずのまわりに炎症があると、その痛みが顎全体に広がるように感じられることがあります。痛みの出どころが歯なのか顎なのか、ご本人には区別しにくいことも少なくありません。
歯科以外の科が適していることもある
顎の痛みのすべてが口まわりに由来するわけではありません。たとえば、耳や副鼻腔の不調、首や肩からの関連した痛み、神経に関わる痛みなどが、顎の痛みとして感じられることもあります。歯科で診たうえで口まわりに原因が見当たらない場合には、耳鼻科や他の科への相談が適切になることもあります。だからこそ、まず口まわりを評価できる歯科で出発点をつくることが、結果的に正しい科へたどり着く助けになります。
受診を急いだほうがよい目安
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 口が開けにくい、開けると強く痛む
- 痛みが数日続く、あるいは日に日に強くなっている
- 顎やその周囲に腫れがある、発熱を伴う
- 食事や会話に支障が出ている
とくに腫れや発熱を伴う場合は、炎症が広がっているおそれがあるため、様子を見ずに受診してください。
受診までのあいだにできること
痛みが強いときは、無理に大きく口を開けたり、硬いものを噛んだりするのを控え、痛む側で噛まないようにすると、負担を減らせます。頬づえや片側で噛む癖など、顎に負担をかける習慣に気づいたら、意識して避けてみてください。ただし、これらはあくまで一時的な対処です。痛みの薬を自己判断で使い続けることは避け、原因の確認は歯科にゆだねるのが安心です。
背景に噛み合わせがあることも
片側の顎の痛みは、その場の症状だけでなく、噛み合わせの偏りや食いしばりといった、より根本的な背景が関わっていることがよくあります。私は、痛みを抑えるだけでなく、その背景まで含めて診ることを大切にしています。痛みが繰り返す、なかなか引かないという場合は、一度しっかりと顎と噛み合わせの状態を確認することをおすすめします。