歯を失ったときの選択肢 ― ブリッジ・入れ歯・インプラントの違いと選び方【桜新町の歯科医師が解説】
こもり歯科クリニック 院長 小森 真樹(臨床歴19年・日本顎咬合学会 指導医・桜新町)
歯を失った、あるいはこれから抜くことになったとき、その後をどう補うかで迷う方は多いと思います。ブリッジ、入れ歯、インプラント——よく耳にする三つの方法には、それぞれに長所と短所があります。この記事では、三つの違いを公平に整理したうえで、どう選べばよいのかをお伝えします。先にお伝えしておくと、「どれが一番いいか」に、すべての人に当てはまる正解はありません。
歯を失ったときの、三つの基本的な選択肢
失った歯を補う方法は、大きく次の三つに分けられます。両隣の歯を支えにして橋のように渡す「ブリッジ」、取り外しのできる「入れ歯」、そして骨に人工の歯根を埋める「インプラント」です。それぞれの特徴を順に見ていきます。
ブリッジ ― 固定式で自然だが、両隣の歯を使う
長所
- 固定式のため違和感が少なく、自分の歯に近い感覚で噛める
- 比較的短い期間で治療が終わる
- 条件によっては保険が適用できる場合がある
短所
- 支えにするために、両隣の健康な歯を削る必要がある
- 支えの歯に負担がかかり、その歯の寿命に影響することがある
- 橋の下に汚れがたまりやすく、清掃に工夫が要る
入れ歯 ― 幅広く補えて負担が少ない一方で
長所
- 一本から多数歯まで、幅広い欠損に対応できる
- 外科処置が要らず、全身状態やご高齢の方でも適応が広い
- 条件によって保険が適用できる場合がある
短所
- 取り外して手入れする必要がある
- 天然の歯に比べると噛む力が落ちやすい
- 部分入れ歯では、留め具(バネ)の見た目や、支える歯への負担が生じることがある
- 慣れるまでに時間がかかることがある
インプラント ― よく噛めて周りに優しいが、外科処置と管理が要る
長所
- 両隣の歯を削らず、その歯を守れる
- 骨に支えられるため、自分の歯に近い感覚でしっかり噛める
- 一本で自立するため、周りの歯に負担をかけにくい
短所
- 外科的な処置が必要で、治療期間も比較的長くなる
- 骨の量や全身の状態によっては、適応に条件がある
- 自費治療となり、費用の負担が大きい
- 長くもたせるには、入れた後の継続的な管理が欠かせない
「どれが一番いいか」に、万人共通の正解はありません
こうして並べると分かるように、三つの方法はどれも、長所と短所の両方を持っています。インプラントが常に最善というわけでも、入れ歯が劣っているというわけでもありません。最善の選択は、失った歯の場所と本数、残っている歯と骨の状態、噛み合わせ全体のバランス、全身の状態、そして何より、その方の生活や希望、ご予算によって変わります。
とくに大切なのは、欠損したところだけを見て決めないことです。同じ「奥歯一本の欠損」でも、口全体の噛み合わせの状態が違えば、最善の方法は変わります(この考え方は「噛み合わせ全体が崩れてきた方へ」で詳しくお伝えしています)。
だから、まず全体を診てから一緒に決めます
私は、欠損を補う方法を選ぶとき、必ず口全体と噛み合わせから考えます。日本顎咬合学会の指導医として、最終的な噛み合わせのゴールから逆算し、三つの方法(場合によっては歯の移植など、ほかの選択肢も含めて)の中から、その方にとって最善のものをご提案します。どの方法にも誘導しません。長所も短所も正直にお伝えし、納得して選んでいただくことを大切にしています。欠損を補う治療や、抜歯と同時に進める抜歯即時インプラントもあわせてご覧ください。
歯を失った、あるいは失う予定の方へ
どの方法が自分に合うのか迷っている方は、まず口全体を診させてください。当院では、選択肢それぞれの長所と短所を正直にお伝えしたうえで、一緒に最善を考えます。他院での提案に迷われている方のセカンドオピニオンも歓迎していますし、遠方からのご相談もお受けしています。実際の治療例は症例集、費用は料金表にまとめています。ご相談はお問い合わせから承ります。