10年以上歯医者に行っていない人のよくある質問Q&A何年も歯医者に行っていない方へ ― 久しぶりの初診でよくある不安にお答えします【桜新町の歯科医師が解説】
こもり歯科クリニック 院長 小森 真樹(臨床歴19年・日本顎咬合学会 指導医・桜新町)
「最後に歯医者に行ったのがいつか、もう覚えていない」「5年・10年以上ご無沙汰してしまっている」という方は、実は非常に多くいらっしゃいます。当院にも「何年ぶりかわからない」という患者様が毎月のように来院されます。
そのような方が一番心配されるのは「怒られないか」「どんな状態になっているか」「費用がどのくらいかかるのか」という点です。臨床歯科医として19年、桜新町で開業して11年が経ちますが、長期間歯科に行けていなかった方を責めたことは一度もありません。来てくださったこと自体が、最善の一歩だと思っています。
この記事では、久しぶりに歯科を受診しようとしている方が抱える疑問・不安に、できるだけ具体的にお答えします。
院長からひと言 ― 「何年ぶりでも、来てくれてありがとう」
長年の臨床経験の中で、「10年以上歯医者に行っていなかった」という方を数多く診てきました。理由はさまざまです。「忙しくて時間が取れなかった」「怖くて足が向かなかった」「痛みがなかったので後回しにしていた」「子育て・介護で自分のことが後回しになっていた」。
どんな理由であれ、責める気持ちは全くありません。歯科医師として私が残念に思うのは、「もっと早く来てくれていたら」という状況だけです。それも責任の一端は歯科医療側にある、来てもらいやすい環境を作れていなかったということだと思っています。
何年ぶりでも、どんな状態でも、来てくださったその日が「始め直し」の日です。まず現状を正確に把握して、一緒に考えましょう。
Q1. 何年も行っていないけど、今さら行っても大丈夫ですか?
大丈夫です。「今さら遅い」ということはありません。ただし、率直にお伝えすると「早ければ早いほど選択肢が広い」のも事実です。
歯の病気、特に虫歯と歯周病は、自覚症状なく静かに進行します。痛みが出たときには、すでにかなり進行しているケースがほとんどです。歯の神経まで虫歯が達していれば根管治療が必要になりますし、歯を支える骨が大きく溶けていれば歯を失うリスクが出てきます。
一方で、どんな状態になっていても「現状を正確に把握して、今できる最善を尽くす」ことは必ずできます。当院では初診時に口腔内写真・パノラマX線などでお口全体のスクリーニングを行い、今の状態と今後の見通しを丁寧にご説明します。
Q2. 怒られませんか?恥ずかしくないですか?
絶対に怒りません。これは断言できます。
長年の診療の中で、「何年も行けていなかった」「ボロボロの状態で申し訳ない」とおっしゃりながら来院される方をたくさん診てきました。そのような方に必要なのは、責めることでも恥をかかせることでもなく、「今何が起きていて、これからどうするか」を一緒に考えることです。
当院では初診時に十分な時間をとって、現状の説明と今後の方針についてカウンセリングを行います。「何をどの順番で治すべきか」「緊急性の高いものはどれか」「費用はどのくらいかかるか」を正直にお伝えした上で、患者様が納得して治療を進められるようにしています。
Q3. 痛みがないのに行く必要はありますか?
はい、あります。むしろ「痛みがない今」こそ来るべきタイミングです。
虫歯は、エナメル質→象牙質→神経という順に進行します。エナメル質・象牙質の段階では痛みがほとんどありません。痛みが出るのは神経まで達してからです。つまり「痛くなってから来た」時点で、すでに神経の治療(根管治療)が必要な状態になっていることが多いのです。
歯周病はさらに症状が出にくい病気です。歯周病は歯を支える骨が溶けていく病気ですが、初期〜中等度の段階では痛みがほとんどなく、「歯茎から血が出る」「口臭がある」程度の症状しか出ないことが多いです。気づいたときには骨が大きく溶けていて、歯がグラグラしているという状態で来院される方もいらっしゃいます。
痛みがない今のうちに現状を確認することで、治療の選択肢が広がり、費用・期間・身体への負担を最小限にできます。
Q4. 長期間放置するとどんなリスクがありますか?
虫歯の悪化
初期の虫歯は、削って詰める処置だけで済みます。しかし放置して神経まで達すると根管治療(神経の治療)が必要になり、さらに進行すると抜歯に至ります。抜歯後は入れ歯・ブリッジ・インプラントで補う治療が必要になり、費用と期間が大幅に増えます。
歯周病の進行
歯周病は進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていきます。中等度以上になると外科的な歯周治療が必要になり、重度になると保存が難しくなります。歯周病は全身疾患(糖尿病・心臓病・誤嚥性肺炎など)との関連も報告されており、全身の健康にも影響します。
噛み合わせの崩壊
歯を失ったまま放置すると、隣の歯が傾いたり、対合する歯が伸びたりして噛み合わせが崩れていきます。噛み合わせの崩壊は連鎖的に広がり、最終的にはお口全体の再治療が必要になる「咬合崩壊」に至ることがあります。咬合崩壊の治療は矯正・インプラント・補綴を組み合わせた大規模な治療になり、費用は数百万円単位になることもあります。
治療費の増大
初期の虫歯なら保険診療で数千円で済む治療が、放置して根管治療・被せ物が必要になれば数万円に、さらに抜歯・インプラントが必要になれば数十万円以上になります。「歯医者代がもったいない」という気持ちはよく理解できますが、放置することで将来かかるコストが指数関数的に増えるのが歯科治療の特徴です。
Q5. 久しぶりの初診で何をしますか?当日の流れを教えてください
当院の初診の流れをお伝えします。「何をされるかわからない」不安を少しでも解消していただければと思います。
- 問診:現在の症状・いつから歯科に行けていないか・全身の健康状態・服薬状況などをお聞きします
- 口腔内写真の撮影:歯・歯肉・補綴物の状態を記録します。痛みは全くありません
- パノラマX線撮影:お口全体を一枚のX線で俯瞰します。これだけで多くの問題点が把握できます
- 必要に応じてデンタルX線・CT撮影
- スクリーニング・カウンセリング:現状と今後の見通し・治療の優先順位・費用感をご説明します
- 緊急性の高い症状がある場合は、同日に応急処置を行います
初診当日に「全部治す」必要はありません。まず現状を把握し、「どこから手をつけるか」を一緒に決めることが初診の目的です。
Q6. 費用はどのくらいかかりますか?
初診のスクリーニング(口腔内写真・パノラマX線など)は保険診療の範囲内で行います。3割負担の方で、初診料込みで3,000〜5,000円程度が目安です。
その後の治療費は、現状の問題の数・重症度・保険か自費かによって大きく異なります。初診で全体を診てから治療費の見通しをお伝えするというのが当院のスタンスです。費用がわからなくて不安という方も多いので、初診後のカウンセリングで費用感を明確にしてからご判断いただけます。
なお治療費が大きくなる場合は、分割払い・クレジットカード払いにも対応しています。
Q7. 保険治療と自費治療、どちらを選べばいいですか?
すべてを自費にする必要はありません。当院の考え方をお伝えします。
根管治療(神経の治療)は、保険診療でもマイクロスコープとラバーダムを使って精密に行います。これは開業当初から変えていない方針です。「お金がある人だけ精密な治療を受けられる」という状況を作りたくないからです。
一方、被せ物・詰め物については、長期的な耐久性・審美性・精度を考えると自費のセラミックに優位性があります。保険の銀歯でも機能は確保できますが、セラミックの方が歯との適合が良く、二次虫歯のリスクが低くなります。
「全部保険でやりたい」「費用を抑えたい」というご希望も、まずは聞かせてください。現状と費用の制約を踏まえた上で、最優先でやるべきことをご提案します。
Q8. 全身の病気と歯の健康は関係ありますか?
大きく関係しています。歯周病は以下の全身疾患との関連が研究で報告されています。
- 糖尿病:歯周病が血糖コントロールを悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させる双方向の関係
- 心臓病・脳卒中:歯周病菌が血管に影響を与えるリスク
- 誤嚥性肺炎:口腔内の細菌が誤嚥により肺に入って発症。特に高齢者に重要
- 早産・低体重児出産:妊娠中の歯周病との関連
「歯の健康は全身の健康」という言葉は、今や医学的な根拠のある事実です。長年歯科に行けていなかった方は、歯だけでなく全身の健康リスクという観点からも、一度口腔内の状態を確認することをお勧めします。
まとめ ― 「今が一番早いタイミング」です
何年も歯医者に行けていなかった方に、最後にお伝えしたいことがあります。
「もっと早く来ればよかった」と思う必要はありません。来ようと思ったその日が、一番早いタイミングです。放置した時間を悔やむより、これから先の歯の健康を守ることに目を向けてください。
当院では初診で怒ることも、恥をかかせることも一切しません。現状を正直にお伝えし、「できること・できないこと」「優先順位」「費用の見通し」を丁寧に説明した上で、患者様が主体的に判断できる環境を作ることを大切にしています。
桜新町・世田谷区周辺で「久しぶりに歯医者に行こうかな」と思っている方は、ぜひこもり歯科クリニックにご連絡ください。まず現状を一緒に確認しましょう。
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※この記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状・治療については初診時に診査の上でご説明します。
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